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フォーガットン

原題: The Forgotten
監督: ジョセフ・ルーベン
日本公開: 2005年
上映時間: 92分
製作国: アメリカ
視聴: DVD

 

story __

愛息サムの突然の死から立ち直れない、母親テリー。夫ジムや精神科医マンスのサポートも虚しく、テリーの悲しみは日に日に募っていく。

そんな中、めでたく職場復帰を決意したテリーの記念すべき日、家族3人で撮った写真からサムだけが消えていることに気づき、写真を差し替えたのではとジムに怒りをあらわにするテリー。写真は元に直されるどころか、翌日にはアルバムからサムの全ての写真が消え、果てには成長を記録したビデオでさえ消去されていた。

パニックに陥るテリーに、さらに追い討ちをかけるように息子などいなかったと反論する夫。ベビーシッターを頼んだこともある隣人も、息子の存在を証明してくれない。そして、ついには新聞から息子が乗っていた飛行機事故のニュース自体が消え、夫ジムからは結婚の事実すら失われた。

なんとか同じ飛行機事故で娘を失った元アイスホッケー選手のアッシュの記憶を甦らせ味方を得たテリーは、息子の死の裏に潜む大きな謎に挑んでいくが‥‥。

 

report __

期待値上げて観たけど‥‥「はぁ、そうですか」‥‥みたいなラストでした。

まあ、観る前から『シックス・センス』や『アザーズ』みたいな「心霊もの」か、『ハイド・アンド・シーク』や『シークレット・ウィンドウ』みたいな「二重人格もの」か、そんなトコだろうと思っていたんだけど、まさか「宇宙人もの」とはね。

副題的に「母の愛は強し」みたいなことを盛り込んでるんだけれど、結局姿を現わさない宇宙人の「モヤモヤ」感が映画全体をすっぽり包んでしまって、何が言いたいのか、何がしたかったのか、サッパリ不明です。

公開当時オンエアされてたCMの印象的なシーン、宇宙人による拉致(いわゆる突然空にすごい勢いで吸い込まれていく)も、かなり乱暴。ラストでテリーとアッシュの子供だけは戻ってくるけど、他の拉致られた人達はどうなっちゃったのか、正直そっちが気になります。自分達(主人公)の子供さえ帰ってくればハッピーエンドみたいな感じも、すごくイライラします。

記憶と事実の消去も、みんな宇宙人の仕業。宇宙人は強大でかなわない。‥‥宇宙人の仕業と発覚した当初からそのスタンスを固定しすぎてて、観る側を強引に納得させようとしている感じが横柄。たくさんの人の記憶を、はたしてどうやって消しているのかが一番気になるところなのにね。ニュースだって、見聞きした全世界の人々の記憶が対象でしょ。単純に主人公の家のアルバムからその記事を切り取ればオシマイとか、そんな簡単なもんじゃないんだから。そういう重要なディティールを作りこまずに、宇宙人という漠然かつ強大なフワッとしたものだから万能なんだって済ましちゃうのは、全然納得いかない。

もっとぶっちゃければ、主人公の子供なんかどうだっていいのだ。戻ってこようがこまいが、たいした問題ではないのだ。

重要なのは、どうやって人々の記憶が操作されていくのか、誰がどうやっているのか。それがこの映画に対する興味の源なのに、掘り下げるところを根本から完全に誤っているといっても過言ではない。未知なる宇宙人で全て風呂敷が包めると思ったら、ちょっとお客さんを舐めてるんじゃないかしら。

ちなみに余談だけど、『宇宙戦争』といい、今年の「宇宙人もの」は「圧倒的な力を持った宇宙人」のイメージを植えつける感じが多いね。『フォーガットン』中のアメリカ政府じゃないけど、もしアメリカが宇宙人と本当に密約でも交わしていて、それが友好的というよりかは好戦的なヤツらな場合の「予防線」じゃなければいいけど‥‥なんてね。

 

score __ ★ ★ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆